「関係性を深める会話」ができない…と悩む先生へ
【この記事を読むと分かること】
『クラスの子どもとの会話が盛り上がらない…』『関係性がうまく構築できない…』と困っている先生向けに、子どもの反応が変わる会話の仕方と、その理由をお伝えします。
「毅然とした態度で」
「厳しく指導すれば」
「子どもともっとコミュニケーションを」
そんな抽象的なアドバイスばかりで、
具体的な方法を教えてくれない研修会や指導書に、
嫌気がさしていませんか?
現場で本当に困っているのは、
「何を話せばいいのか分からない」という
もっと切実で具体的な悩みなのに。
毎日、同じことで悩んでいませんか?
「また今日も、あの子と上手く話せなかった...」
そんな風に思って帰ってくる日が、続いていませんか?
授業中に立ち歩く子、注意しても聞いてくれない子。
そんな子たちと、どう接すればいいのか分からなくて、
毎晩スマホで「やんちゃな子 関わり方」と検索している。
隣のクラスは静かなのに、自分のクラスだけがうるさくて、
廊下を歩く度に申し訳ない気持ちになる。
先輩からは「もっと毅然とした態度で」
と言われるけれど、具体的に
どうすればいいのか教えてもらえない。
教師として、このままでいいのか不安になる夜。
そんな日々を送っていませんか?
それは、私も全く同じでした…
「関係づくり」の本当の意味を知らされない現状
多くの先生が勘違いしていることがあります。
それは、
「話題さえ見つければ、子どもと仲良くなれる」
という思い込み。
でも、悲しい現実ですが
これは実は思ったほどの効果はありません。
話題は、あくまでも「入り口」。
本当の目的は
「この先生は自分を一人の人間として見てくれている」
という無言メッセージを、
子どもに伝えることなんです。
これが、一般的な
「子どもの話を聞きましょう」との
決定的な違いです。
私が実際にやってみたこと
私のクラスにも、トモヒロ君という、
よく立ち歩く子がいました。
注意すると「うるせー」と言い返される日もあって、
正直どう接すればいいのか悩んでいました。
そんな感じのある日。
休み時間にトモヒロ君が友達と
「ダンダダン、めっちゃ面白いよな!」と
話しているのが、偶然聞こえてきたんですね。
普段、授業中は無表情なトモヒロ君が、
目をキラキラさせて話している。
その姿を見て、私は思い切って声をかけてみたんです。
「おぉ!ダンダンダンか、先生も好きだよ!」
「面白いよなあ… 昨日の第◯回、観た??」
「ターボばばあの変身、カッコよかったよなぁ…」
その瞬間、
トモヒロ君の表情がパッと変わったんですね。
目がキラキラして、身を乗り出して話し始めました。
「え!先生も見てるの?スゲ!」
「あのシーンやばくない?」
その瞬間の彼の嬉しそうな顔を、今でも覚えています。
その日以降、少しずつですが、
トモヒロ君との関係が変わってきました。
もちろんこの会話のみの成果ではないでしょうが、
授業中の立ち歩きは減り、
私が注意しても素直に聞いてくれることが増えたんです。
※これは、以下の取り組みと並行して行うことで効果が10倍以上違って来ます。必ず、以下から取り組んで見てください。関係性は劇的に変わります。
なぜ、こんなに変化が起きたのか?
最初は「アニメの話をしたから仲良くなれた」と思っていました。
でも、よく考えてみると、もう少し深いことが起きていたんですね。
表面的な「話題探し」では絶対に失敗する理由
多くの先生がおかしてしまう致命的な間違い。
それは、「話題を見つけること」が目的になってしまうことです。
「今日は何の話をしよう」
「どんなアニメが流行ってるかな」
「この話題で盛り上がれるかな」
こんな風に考えている限り、子どもとの本当の関係は築けません。
なぜなら、子どもは敏感に察知するから。
「この先生、無理して話しかけてきてるな」
「なんか、必死すぎて気持ち悪いな」
そういう風に思われてしまうと、逆に子どもたちから遠ざかってしまう。
大事なのは「理解しようとする『姿勢』」にあります。
子どもの気持ちを理解する
トモヒロ君のようなやんちゃな子は、
これまでの経験で「大人=自分を注意する人」
と覚えてしまっていることが多い。
だから、大人に対して「どうせまた怒られる」
という気持ちを持っているんですね。
でも、アニメの話をした時、
状況は少し変わりました。
彼の中で何かが変わったんですね。
「この先生は、僕と同じものを楽しんでる」
「僕の好きなものを否定しない」
「僕の話を本当に聞いてくれる」
いきなりここまで到達したかは分かりませんが、
少なくとも、こんな気持ちに近づいていったんだと思います。
関係性の根本的転換
つまり、先生 vs 児童という関係が、
一緒に楽しむ仲間みたいな関係に
変わったんです。
これは、子どもにとってけっこう大きな変化です。
今まで「注意される対象」だった自分が、
「話を聞いてもらえる存在」になった。
そんな体験だったのかもしれません。
話題は入り口です。
本当の目的は
「人間として認められる体験」を与える
ことなんですね。
アニメ以外にも使える話題があります
「でも、私はアニメのことよく分からないし...」
そう思われるかもしれませんね。
大丈夫です。
アニメ以外にも、同じような効果が期待できる話題はたくさんあって。
ゲームの話 「最近、どんなゲームやってる?」
YouTubeの話 「面白いYouTuber、知ってる?」
スポーツの話 「サッカー、好きなチームある?」
音楽の話 「どんな歌、よく聞く?」
食べ物の話 「給食で好きなメニューって何?」
大切なのは、その子が興味を持っていることに、
本当に関心を示すことなんです。
実際にやってみて分かった大切なこと
ただし、気をつけなければいけないこともあります。
知ったかぶりは絶対にダメ
子どもは、大人が本当に知っているかどうか、すぐに見抜きます。
「よく知らないから、教えて」
という姿勢の方が、むしろ効果的。
私も最初は無駄なプライドから、抵抗があったのですが、
「先生、アニメ詳しくないから教えて」
と言ってみたら、トモヒロ君は
喜んで説明してくれました。
この瞬間、トモヒロ君は
「教える側」になったんです。
いつも「教えられる側」「注意される側」だった彼が、
初めて「先生に何かを教える存在」になった。
これが、きっと関係性を根本的に変えてくれた瞬間でした。
話題づくりが目的になってはいけない
大切なのは、その子を理解しようとする気持ち。
話題は、あくまでもきっかけなんですね。
「この子のことを、もっと知りたい」
「この子が大切にしているものを、理解したい」
この気持ちがあれば、自然と適切な話題が見つかります。
どうやって流行を知ればいいのでしょうか
「でも、どんな話題が流行っているか分からない...」
そう思われるかもしれません。
私も最初はそうでした。
でも、休み時間に子どもたちの会話に耳を傾けていると、
自然と流行が分かってきます。
「あ、今はこのアニメが人気なんだな」
「このゲームをやってる子が多いんだな」
そんな風に、少しずつ情報が集まってきます。
子どもたちの会話。
それが、一番確実な情報源です。
完璧でなくてOKです
全ての子と、上手く関係が
築けるわけではありません。
私も、今でも悩むことはあります。
でも、一人でも二人でも。
心を開いてくれる子が増えれば、
教室の雰囲気は少しずつ変わってきます。
そして、その変化は確実に他の子にも伝わっていく。
これは、私が実際に体験したことなんですね。
あなたにも、きっとできます。
今夜、子どもたちが最近話している内容を思い出してみてください。
そして明日、勇気を出して一言声をかけてみてください。
「昨日の○○、見た?」 「最近、どんな○○やってる?」
ただし、忘れないでください。
目的は「話題で盛り上がること」ではありません。
「この子を一人の人間として理解したい」という
気持ちを伝えることです。
きっと、今まで見たことのない
子どもの表情に出会えるはずです。
そして、その瞬間から。
あなたと子どもとの関係が
少しずつ変わり始めるかもしれません。
明日が楽しみになりませんか?^^
PS.
私がアニメを積極的に見るようになったのは、実は教師になってからなんです。
最初は「子どもの話についていくため」という義務的な気持ちでした。
でも、見ているうちに、私自身が楽しむようになっていました。
そして気づいたんです。
先生が心から楽しんでいることほど、子どもに伝わりやすいのでは?ということ。
トモヒロ君との関係が変わったのも、私が本当にアニメを楽しんでいたからかもしれません。
でも、ここで大切なことをお伝えしたいと思います。
多くの教育書や研修会では「子どもの話を聞きなさい」としか言われません。
でも、それは表面的すぎるんです。
本当に大切なのは「なぜ、その話題がその子にとって大切なのか」を理解することなんです。
トモヒロ君にとって、ダンダダンは単なるアニメではありませんでした。
それは、友達と共有できる楽しみであり、自分の感情を表現できる場であり、大人に理解してもらえる自分の一部だったんです。
教室は一つとして同じものはありません。
子どもたちの興味も、クラスの雰囲気も、先生自身の特性も、全て違いますよね。
だからこそ、その子その子に合った話題の見つけ方、効果的な関わり方があります。
それは、あなたとその子にしか分からない、特別なものになるはず。
私がお伝えした方法は、あくまでも一つの例に過ぎません。
あなたのクラス、あなたの子どもたちには、また違ったアプローチが必要かもしれませんね。
今夜、子どもたちの好きそうなものを一つ調べてみませんか?
ただし、調べる時も思い出してください。
目的は「話題を仕入れること」ではありません。
「その子が大切にしているものを理解したい」という気持ちを持つことです。
きっと、新しい発見があるはず。
そして、もしあなたが「話題を見つけた後、どうやって具体的に関係を深めていけばいいのか」について知りたいと思われたら、また別の記事でお話しします。
子どもとの関係づくりは一朝一夕ではうまくいきませんが、正しい方向性で継続していけば、確実に変化は訪れます。
一緒に頑張っていきましょう^^ 応援しています!
また次の記事でお会いしましょう^^