“ダメだった自分”を超えたいあなたへ

このブログの全ては、自分を責めていた“あの頃の私”に向けて書いています。

「子どもへの思い込み」が、学級崩壊への『最初の一歩』となってしまう理由

「決めつけまくってたわ...」そう気づいてから教室がガラリと変わり始めた話

「先生、これ見て!」

「あー、忙しいから後で...」

「でも見て!見て!」

「はいはい、上手ね」

私は、心の中でため息をつきました。

またユキト君が

あの雑な絵を持ってきたから、です。

 

クレヨンで殴り書きしたような線。

何を描いているのかも分からない。

「絵が苦手な子だなあ...」

 

でも、この後の彼の一言で、

私は大切なことに気づくことができました。

 

 

なぜ私たちは「決めつけ」てしまうのでしょうか

教師になって数年が経つと、

ある種の「パターン認識」ができるようになってきます。

 

「この子は算数が苦手」

「この子は友達づくりが下手」

「この子は集中力がない」

 

経験を重ねれば重ねるほど、

子どもたちを「カテゴリー」に

分けて見てしまう。

 

実はこれが思い込みの始まりです。

 

それは決して悪いことではありません。

個々の特性を理解して、

適切な支援を考えるためには必要なスキルだとも思います。

 

でも、その「経験」が時として、

子どもの本当の姿を見えなくしてしまうことがあるな、

と感じています。

 

私たちは知らず知らずのうちに、

大人の価値観で子どもを測ってしまう。

 

大人が考える「上手」や「下手」。

大人が思う「正しい」や「間違い」。

 

そして気づかないうちに、

子どもたちの心の声を聞き逃してしまう。

 

でも実はここにこそ、

学級経営がうまくいくかどうか?の

分岐点が隠れているように思います。

 

今回は、

「本当にこれが教育なのか?」


と思ってしまうような管理的な学校運営に、

正直マンネリ感を覚えていた頃に

ぶつかった私の課題の話です。

 

書類作成に追われて子どもと向き合えない日々。

「指導」という名の「コントロール」。

子どもを型にはめることばかり求められる現実。

 

今回の「気づき」がなかったら、

もしかしたら、気づかないうちに私が

最も子どもの可能性を狭めてしまっていたかもしれません。

 

 

その日の「小さな気づき」

その日において、私は気まぐれで

ユキトくんに聞いてみました。

 

「…ユキトくん」

「この素敵なオレンジ色の絵は何だい?」

「...みかん星人かな?^^;」

 

ユキトの目が、一瞬輝いた。

「...悟空」


なるほど。

 

その瞬間、私は気づいたんです。

 

彼は「絵が下手」なのではない。

 

私が彼の世界を理解していなかっただけ。

 

ドラゴンボール孫悟空

 

彼にとって(たぶん)大好きなキャラ。

(たぶん)憧れのヒーロー。

 

オレンジ色の道着を着た、最強の戦士。

 

私には「みかんの星の人」にしか

見えなかったものが、 彼にとっては

大好きなキャラ「悟空」だったんですね。

 

技術的には確かに「上手」ではないかもしれません。

でも、そこには確実に彼の想いが込められていた。

 

たぶん、これが承認欲求の正体です。

 

「自分にとっての大切な物、大切な信念」が
他人から理解されない。

 

私は子供のころ、「荷造り時のアレ」

母親に捨てられてしまい

 

ガチギレ & 大泣き

をした記憶があります。

※正式名称を一度きいたことがありますが、すぐに忘れてしまいました。

 

大切なものを見てほしい。

承認してほしい。

認めてほしい。

 

無言で絵を差し出す彼の行動は、

おそらく私への精一杯のメッセージだったのでしょう。

 

表面的な「問題」の奥には、 子どもたちの切実な想いがある。

これは、教育の根本に関わる大切な出来事でした。

 

私は未だに、母親の

「なんで捨てたの、ですって??」

「だって、ゴミじゃないの!!!💢」

がショックすぎて忘れられないのですから…

 

思い込み解体の3つの視点

この出来事をきっかけに、

私は子どもたちを見る視点を変えるようになりました。

 

あなたの教室はどうでしょうか。

 

あなたのクラスの子どもたちは、

どんな承認を求めているでしょうか。

 

以下に、子どもの『承認』を掘り当てる視点

について、ひとつの手がかりを

書いておこうと思います。

 

視点①:「ダメ認定」を疑う視点

私たちはついつい、子どもに対して

「○○が苦手」という判断を下してしまいます。

でも、その判断は本当に正しいのでしょうか?

大人の基準で「下手」だからといって、

その子にとって価値がないわけではありません。

 

むしろ、その子なりの

「意味」や「価値」があるかもしれない。

 

これが視点転換の第一歩です。

「○○が苦手」と判断する前に、一呼吸。

 

「この絵、どんな気持ちで描いたの?」

「一番気に入ってるところはどこ?」

大人の基準で評価していないか、チェックしてみる。

子どもなりの工夫や努力を探してみる。

 

この視点の転換だけで、 見えてくるものが変わってきます。

 

ただし、ここで注意点があります。

急に質問攻めにすると、子どもが警戒する場合があります。

自然な会話の中で、さりげなく聞くことが大切なんです。

 

ユキト君の絵も、技術より想いに注目すれば

そこには彼なりの創造性と情熱があったんですね。

 

視点②:「承認サイン」を見抜く視点

無言のアプローチも、承認欲求のサイン。

これを見逃してはいけません。

 

「見て」と言葉で表現できない子もいます

 

でも、行動で示そうとしている。

絵を見せに来る。

作品を持ってくる。

何かを教えたがる。

 

これらは全て、

承認を求めているサインかもしれません。

 

言葉でうまく表現できない子への理解。

行動で示すコミュニケーションの価値。

大人が見落としがちな子どものサイン。

 

表現方法は子どもによってけっこう違います。

 

でも、承認への欲求は共通している。

 

ユキトも「褒めて」とは言わなかった。

でも、「見て」という行動で、きっと担任( = 私)に

認めてもらいたがっていたのでしょう。

 

もし反応が薄い子がいても、

焦らないでください。

 

「この絵、すごく丁寧に塗ってるね」

「ここの色使い、面白いね」

小さな発見を言葉にするだけでも、

子どもは「見てもらえた」と感じるものです。

 

視点③:「子ども基準」で評価する視点

最も重要なのは、子どもの世界観を理解しようとする姿勢。

おそらく、これが

教師の「良し悪しの分岐点」です。

 

もっと厳しい言葉で言えば

「担任ガチャ:当たり or ハズレ」

 

確かに、子どもは、

・宿題を少なくしてくれるか?

・面白い先生か?

・退屈な授業をしないか?

 

みたいな視点で「当たり or ハズレ」を言い合って

楽しむケースは多いです。

 

…が、本当のところでの

「この先生は、自分が慕うべき対象か?」

これを判断する時、

 

「自分を理解してくれるか?」


ここに大きな比重を置きます。

 

※ここに関しては、以下の記事に詳しく書いてます。

まだ読んでない人は、絶対に読んでください。

読まないと、今回の内容は「半分以下」しか伝わっていないかもしれません。

 

かつての自分を含め、

学級崩壊に苦しむ後輩から、毎年のように

相談を受けていましたが、

 

集団が、一度この「担任ガチャハズレ」

のような概念に陥ってしまうと

多くの場合、脱出は困難です。

 

そしてその原因の多くが

「子ども理解」を置き去りにしてしまったことが

大きな要因であるように強く感じるのです。

 

大人の「正しさ」を一旦脇に置いて、

子どもの価値観を尊重する。

 

話を戻しますが、「悟空」という答えを聞いた時、

私は彼の創造性と独自性を発見しました。

 

技術より想いを重視する評価観。

子どもの世界観を理解しようとする姿勢。

大人の基準だけで判断しない柔軟さ。

 

これらが子どもとの深い関係性を築く

キーポイントになるんですね。

 

 

本当に変わったもの、変わらなかったもの

とはいえ、実はこのとき、ユキトくんから

大きな変化は見て取れなかったのも事実です。

 

でも、その後の子どもたちを見る視点について

私は確実に変化しました。

 

この視点の転換が、 結果的に

他の多くの子の可能性を救うこと

に繋がったのだと思ってます。

 

ここから、実践するうえでの注意点があります。

 

・すぐに劇的な変化は期待しない

・子ども一人ひとり表現方法が違う

・思い込みを完全に排除するのは困難

 

でも、意識するだけで確実に

「違い」は現れてきます。

 

 

ある程度の経験年数を経たからこそ見えてくるもの

あの日から、私は子どもたちを見る時に、

一呼吸置くようになりました。

「この子は○○が苦手」と決めつける前に、

その子なりの理由や想いがあるかもしれない、
と考えるようになったんですね。

 

5〜7年ほど経験が積み重なってきたならば、

様々な子どもとの出会いを重ねてきているでしょう。

 

その経験こそが、 思い込みを疑う力になります。

新任の頃には気づけなかった、

子どもの微細なサインを読み取る力。

それぞれの子の背景や クラスの状況によって、

最適なアプローチは変わってくるものです。

 

経験があるからこそ陥りやすい思い込み。

でも、経験があるからこそ気づける子どもの真実。

この両面を理解していることが、

中堅教師の強みなのかもしれません。

 

「日頃の視点」を見直す

理想の教育と現実の制約。その間で悩み続ける日々。

でも、子どもたちが求めているのは

案外シンプルなことなのかもしれません。

 

見てほしい。 認めてほしい。 理解してほしい。

これが子どもの本音。

技術的な完璧さよりも、 想いを受け止めてもらうこと。

 

大人の基準ではなく、 子どもの世界観を尊重してもらうこと。

ユキトの「悟空」が教えてくれたのは、

教育の根本にある大切な出来事だったと思ってます。

 

子どもは、承認を求めている。

 

表面的な「問題」の奥に、真の姿がある。

大人の思い込みを疑うことから、本当の教育が始まる。

おそらくこれは、

学級崩壊を防ぐ重要すぎる第一歩です。

 

 

 

PS.

正直に告白すると、 私も長い間「思い込み教育」をしていました。

「この子は算数が苦手」 「この子は友達づくりが下手」 「この子は集中力がない」

でも、その「思い込み」を疑い始めた時、 教室での小さな発見が増えました。

子どもたちの行動の背景に、それぞれの想いがあることに気づいた時、 改めて教育の奥深さを感じたんです。

もしあなたが今、同じような悩みを抱えているなら... 特に、どの子への関わり方で迷っているなら...

一人で抱え込み続けるのは、正直しんどくないですか?

あなたの教室で起きていることも、きっと表面的な「問題」の奥に、 子どもたちの切実な想いがあるはずです。

でも、それぞれの子への最適なアプローチは、その子の背景や、クラスの状況によって 本当に様々なんです。

その想いに気づけた時、 あなたの教室は確実に変わり始めるでしょう。

応援しています^^

また次の記事でお会いしましょう!