“ダメだった自分”を超えたいあなたへ

このブログの全ては、自分を責めていた“あの頃の私”に向けて書いています。

やんちゃに説教しても『21人が無視』する理由 :教師が忘れてはいけない「262の法則」

 子どもの心を動かす『262の法則』とは

この記事を読む前に、必ずこちらをお読みください

「やんちゃな子との信頼関係を構築するためのファーストステップ」です。

これを実践したあなたが次に知るべき、「クラス全体への影響」について今回は解説します。

 

前回お伝えした通り、説教をどんなに短くしたところで、

『そもそもの関係性ができてない状態』では、

やんちゃな子に教師の言葉は届きません。

 

さらに見落としてはいけないのが


それは「やんちゃ以外の子も同じ」という現実

やんちゃな子との一対一対話を実践したあなたなら、

こんな悩みに直面しているはずです。

 

「あの子との関係は良くなったけど、他の29人はどうすれば?」

「一人に時間をかけすぎて、クラス全体がバラバラになってきてる感じがする…」

実は、これこそが今回の重要な話です。

 

教室に「部外者」はいません。

「一人に時間をかけた」ということは、その分「他の34人に時間をかけられなかった」ということ。

そこで、今回の内容が大事になってきます。

やんちゃな子に届けたいことは、

必ず他の全児童にも届けるべき内容なんです。

そうしないと、学級は積み上がっていきません。

 

それを踏まえたうえで、欠かせない概念が

「262の法則」。

 

今回は、この概念について書いていきます。

クラス運営に失敗しないためには、一人だけではなく、35人の集団全体を見据える意識が必須です。

そのため今回の「262の法則」は、教師として「必須の概念」といえるでしょう。

 

教室の35人は、こう分かれている

まず理解すべきは、教室の35人はこう分かれているということです:

7人(2割):あなたの話を真剣に聞く子

21人(6割):「自分には関係ない」と思っている子
7人(2割):最初から聞く気がない子

やんちゃな子への指導が他の子にもまとめて波及していかないのは、

この21人の「人ごと感」が原因とも言えます。

 

重要なのは、やんちゃな子に伝えたい内容(例:暴言を吐かない、暴力をしない、時間を守る、人の話を聞く、友達を大切にする等)は、本来なら全ての子に伝えるべき内容だということ。

「長い or 短い」のみにフォーカスされた説教

「〇〇君だけの問題」として処理され、

21人は「自分には関係ない」としてスルーされてしまう。

 

これが説教が、35人の『誰にも』届いていない本当の理由です。

やんちゃな子にも、35人の誰にも。

悲しいですが届いていないんです。

 

※最後の7人(聞く気がない子)に関しては、もちろん別で対応が必要です。

ただ、こちらはその子の実態やクラス状態によって、本当に一概には語れません。

なので今回は、「集団」「クラス運営」「学級崩壊を避ける」という観点でとくに重要になってくる「6割」の部分にフォーカスし、お伝えしていきますね。

 

どんなに価値ある説教も、クラスに届かなければ「雑音」

まず誤解のないように言います。


短い説教自体は決して悪いものではないと思います。

ダラダラと長い説教より、はるかに

効果的な場合が多いでしょう(そう実感してます)。

 

とはいえ、そもそもどんなに価値ある「説教」も、

クラスに届かなければただの「雑音」。

 

長くても短くても、重要なのは

「誰かに話した内容を、全体にしっかり伝えること」なんですね。

 

でも、ここで陥りやすい落とし穴があります。

それは「注意を受けているやんちゃな子」

一人に絞って見てしまう視点です。

 

それを集団が見ていたらどう思うでしょうか?

 

説教の短さのみ意識する対応は

「〇〇君、授業中は静かにしなさい」

 

この時、21人の心の声は

「また〇〇が怒られてる」

「自分は静かにしてるから関係ない」

「やんちゃな〇〇君の問題でしょ」

 

つまり21人にとって説教は、

「自分には当てはまらない、他人事の注意」

として処理されてしまう。

 

これが262の法則を無視した指導の問題点。

やんちゃな子への説教が、クラス全体の学びにならないんですね。

 

集団指導では、一人への指導が

クラス全体にどう伝わるか

を考えることは、かなり大事な視点です。

 

ユキト君の変化で見る262の法則活用

私のクラスのユキト君(やんちゃな子)の例で説明しますね。

ある日の授業中の私語を注意する場面。

※あくまで「普段の私の捉え方」という感じでご理解ください。

 

【「説教は短く!」のみを意識している対応】

「ユキト君、静かに」

 ↓ 

・他の21人「またユキトか...」(人ごと感)

・ユキト「またオレだけ怒られた...」(被害者意識)

・クラス全体「やっぱりユキトは特別扱いされてる」(不公平感)

 

【262の法則を活用した対応】

「ユキト君、ちょっと待って。みんなも聞いて。」

「ユキト君は今、『この問題わからない』って正直に言ってくれた。」

「『わからない』って言える勇気、素晴らしいと思わない?」

「でも、『わからない』は先生に言ってくれる?みんなで考えたいから。」

 ↓ 

この時の反応の変化:

【21人の中間層】

・「ユキトも頑張ってるんだ」(共感)

・「わからない時は先生に言えばいいのか」(学び)

・「自分も気をつけよう」(自分ごと化)

 

【ユキト君本人】

・「怒られるんじゃなくて、認めてもらえた」(安心感)

・「みんなの前で褒めてもらえた」(自己肯定感向上)

 

【7人の積極層】

・「なるほど、そういう伝え方があるのか」(より深い理解)

 

ユキト君を通して、クラス全体に伝えるイメージです。

このとき大事なのが

「本人のプライドを守る」

「本人(の人格)へのリスペクトを込める」

ことです。

 

あなたの教室も変わります

262の法則を理解すれば、クラス全員への対応の仕方は変わってきます。

やんちゃな子だけでなく、教室の全ての子に同じ価値観を届ける意識が出てきます。

 

教室に「部外者」はいません。

全ての子が、あなたからの「言葉」を待っているはずです。

 

大切なのは21人の「人ごと感」を解消すること。
そのためには、個別の問題を「みんなの学び」として

価値付けていくことが大切です。

 

PS.

私も「個と集団」のバランスの取り方に苦労していました。一対一での対話に夢中になりすぎて、他の子たちが置いてけぼりになっていたんです。

ある日、クラスの子がこう言っているのを効いてしまいました…

「先生、ユキトのこと大好きだから笑」

その時気づいたんです。

「35人全員一緒に進まないと、1ミリも変わらん…」

この失敗から学んだのは、やんちゃな子との関係構築と同時に、クラス全体への配慮が絶対に必要だということでした。

若手の頃の私は、「一人ずつ丁寧に関わっていけばいい」と思っていました。でも教室は集団なんですね。一人への関わりが、必ず他の34人にも影響する。

「この子だけ特別扱い?」

「私たちには関心ないの?」

子どもたちのこんな気持ちを理解できていませんでした。

262の法則を意識してからは、一人への指導が全体の学びになるよう意識するようになりました。すると、クラス全体の雰囲気も劇的に変わったんです。

この方法を実践する中で、きっと細かな疑問が生まれてくるはずです。

「うちのクラスの場合はどう適用すれば?」 「具体的にどんな言葉を使えばいい?」

個別のケースでの調整方法について、遠慮なくご相談ください。 neotoriga2@gmail.com

あなたなら必ずできます。一人で悩まず、一緒に子どもたちの成長をサポートしていきましょう^^