(…この子さえいなければ、、、もっと…)誰にも言えない。でもそう思ってしまった時こそ、実は最大のチャンス
「このコって、もしや発達障害...?」
✅ 授業参観日。大声で『この授業つまんない!』と叫ぶ子
✅ 突然スッ…と立ち上がり教室をウロウロ徘徊しだす子
✅ イオンの惣菜コーナーの煮付けを片っ端から潰して回る我が子
そういった状況を見て、こう感じたことはありませんか?
「この子って、発達障害なのかな…?」
「それとも、ただやんちゃなだけ…?」
そう考える前に、絶対に知っておくべきことがあります。
実は、発達障害と診断される子も、いわゆる「やんちゃな子」も、根本的には同じ構造の問題を抱えているということです。
SNSで称賛される「理想論」と、35人を前にした現場の現実
こういった子に関して、学校現場で行われる研修の実態はこうです。
「この子達のことを理解しましょう」
「個別の対応が必要です」
「子ども達は、無限の可能性に満ちています」
確かに理想はそうでしょう。
でも、あまりにも「薄っぺらすぎる」。
そう強く感じています。
・35人の教室で、その『理解』は、どう活かせばいいのでしょうか?
・『個別の対応』とは?
・「無限の可能性」など、とっくに分かっている。
・授業中に立ち歩く子に「理解しましょう」と言われても、他の34人の学習権はどうなるのか?
現場では、もっと具体的で実践的な答えが必要です。
今日もSNSでは「子どもを変えるなんておこがましい!」「可能性を信じることだけが教師の役割!」といった投稿が大量の「いいね」を集めています。
はっきり言います。
厳しい現場では通用しません。
でも、安心してください。
実は、発達障害もやんちゃ児も、驚くほどシンプルな『ある視点』で解決の糸口が見えてきます。
「承認欲求のコップ」理論:問題行動の本当の正体
現場でながく子どもたちと関わるうち、
私は承認欲求を「コップ」のようなもの
とイメージできることに気が付きました。
たとえば、
・A君は20mL(他人からの小さな承認)でも満杯になるけど
・やんちゃなB君は100mL入れても、まだ全然満タンにはならない
満たすためには、それだけ大量の水(大きな承認)が必要なんですね。
やんちゃとされる子はもちろん、診断を受けた子についても
このコップが人よりもデカい
のだと考えることができます。
つまり問題行動は単なる「悪さ」ではなく、
「存在感のアピール」
「承認欲求を満たすための行動」
であることがほとんど。
さらに言えば「承認欲求のコップがデカい」
という特性は、実は強みとも言えるんです。
「人の注目を集める力」
「場の空気を変える影響力」という
むしろ今のSNS世代や、これからの社会にとって
重宝される社会スキルである
と考えられるんですね。
思考の矢印が変わる瞬間
「承認欲求のコップがデカい」とわかれば、
教師の考え方や対応は、全く変わってきます。
たとえば『コップが満たされてない原因は何か?』
という思考ができるようになる。
すると
①友達関係がうまくいってない?
②担任の称賛不足?
③それとも家庭?
という視点が出てくるはずです。
そのように考えた結果、どれかが原因だった場合は
①友達関係が原因 → 関係性の調整から始める
②担任の称賛不足 → 意図的に認める場面を作る
③家庭が原因 → 保護者との連携を検討する
解決の道筋が、はっきりと見えてくる。
さらに重要なのは、毎日
「今日の自分は、どの方法で、彼のコップに水を注いでやれたか?」と自分に問いかけられるようになること。
これが、日々の学級経営における
最高のセルフチェック指標になります。
「この子は発達障害かも…」からの脱出
つまり
「この子ってもしかして…」
「もっと、理解しなきゃ…!」と、
漠然と考えるだけで、生産性のない思考のループで苦しむことから脱出できる。
『担任として、どう成長させていくか?』
この『自分への問い』に、矢印の方向性が変わってきます。
従来の思考:
「この子は、発達障害かな…?」(答えのない堂々巡り)
新しい視点:
「この子のコップはどれくらい満たされてる?」
「この子の行動の理由はどこから?」
さらに踏み込んだ視点:
「今日の私は、彼のコップを『どんな方法で』満たしてやれそうか?」
この思考の転換こそが、教室を変える第一歩になります。
完璧を目指さなくてもいい
こういった「強みを認める視点」は特別なスキルではないです。
人間対人間の関係性の基本なので、
意識すれば誰でもできます。
毎朝、教室に入る前にこう唱えてみてください。
「今日はどんな方法でコップに水を注げるかな?」
この決意が、あなたの教室を変える第一歩になるでしょう。
そして、繰り返しですが最も重要なのは、
完璧を目指さないでください。
まずは一人の子どもから、一つの場面から始めてみればOK。
あなたのクラスの「あの子」にも、必ず
素晴らしい強みがあるはず。
そのコップを満たす方法を見極めることが、解決の第一歩である。
今回はそういうお話でした^^
PS.
実は私がこの「コップ理論」に気づいたのは、ある意味で偶然でした。
ある年度、特に手を焼いていたコウジくん(仮名)という子がいました。授業中に突然立ち上がり、教室を飛び出すことが日常茶飯事。
あの日も算数の授業中に、コウジくんは突然立ち上がりました。私はいつものように「またか…」と思いました。
でも、その日は違いました。とても疲れていた私は、いつものように「席に戻りなさい!」と叱る代わりに、思わず本音が出てしまったのです。
「コウジくん…正直、先生はもうどうしたらいいか分からないよ」
「君は一体、何がしたいの?」
これは「テクニック」でも何でもなく、ただの疲労からの本音でした。
すると、驚くべきことに、コウジくんは立ち止まり、こちらを見ました。そして、小さな声で言ったのです。
「トイレ行きたいだけなんだけど…」
その瞬間、私の中で何かがぶち壊れました。
今まで彼を「問題児」として見ていた自分。彼を「コントロールしなければならない対象」として捉えていた自分。
実際には、彼は基本的な欲求を満たしたいだけだったのに。
それからの私は、彼の行動を「問題」ではなく「コップが空になっているサイン」として見るようにしました。
立ち歩くときは「何か伝えたいことがあるのかな?」と考え、話しかけてみるようにしたんです。
最初は小さな変化でしたが、徐々に彼との関係は変わり始めました。そして、一番驚いたのは、私自身の気持ちの変化でした。
「調子に乗らせないよう、どこかで彼を潰さなければ」というプレッシャーから解放され、むしろ子どもと「共に成長する」という感覚が生まれてきたのです。
もしあなたが、いま教室で苦しんでいるなら。
ぜひ、一度この「コップを満たす視点」で接してみてください。完璧を目指さなくても大丈夫。まずは一人の子どもから、一つの場面から始めてみればOKです。
そして、何か変化があったら、ぜひ教えてくださいね^^
※この記事の詳細版は以下です。合わせて読むと理解度は10倍くらいになり、「明日、我が子にも」鮮明な解像度で当てはめることができます。