【よくある悩み】
子どもを褒めて前向きにさせたいのに、その子に響くような言葉が見つけられず悩んでいます。自分の語彙が少なく、子どもの良いところを十分見つけてあげられていないのではと自信をなくしています。
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こういう悩みを解決するための記事です。
・今日こそ褒めまくるぞ! → 子どもの良いところ見つけられず。撃沈…
・子どもの良いところを日頃からメモするぞ! → 毎日が「怒涛の1日」すぎて追いつかず。続かず。撃沈…
・「1人1人に響く言葉」って、一体どうやって見つければ… → 担任自身が疲弊。教師なのに褒められない自分にがっくり…
こんな負のスパイラルに陥ってしまってませんか?
「褒められない…」その悩み、語彙増やさなくても解決できます
「言葉が出てこない = 語彙力が足りない」?
褒め言葉が出てこないのは、自分の語彙力が足りないせいだと思い込んでいませんか?
実は、それは本質的な原因ではないです。
もちろん、語彙が豊かであるに越したことはありませんね。
でも実は。
それ以上に大切なのは、教師が「児童の何を見て、どこに価値を置くか」「それをどう伝えるか」という見方・視点のほうなんです。
というのも、子どもが「嬉しいな」と感じたり意欲的になったりするのは、褒められたときだけではありません。
実際には、「自分のとった行動に価値がある」と実感できたときに、子どもは本当にいい表情を見せてくれます。
だから教師に必要なのは、華やかな言葉ではなくとも「その行動は、あなたの成長にとって価値があるよ」と、良いタイミングでそっと伝えることが何より大切だったりするんですね。
「ちゃんと褒めなきゃ」があなたを苦しめてる理由
「褒めなきゃ…」というプレッシャーを感じていませんか?本当は心から子どもの成長を喜びたいのに、無理に言葉をひねり出そうとすることで、逆に自分の心が白けてしまう。そんな経験、あると思います。
さらに、「なんか自分、棒読みで褒めてないか?」と自問してしまったり、「子どもに見抜かれてたらどうしよう…」と不安になることもあるでしょう。
実際に子どもから「先生って褒め方、棒読みだよね笑」とか陰口言われてたらもう立ち直れんわ…と思ってしまう。。。
だからこそ、「ちゃんと褒めなきゃ」と肩に力を入れるのではなく、「伝わればいい」と力を抜くことも大切。
無理をして笑顔をつくるのはシンプルに苦しい。そして続けられない。
それよりも心から感じたことを自然に伝える方が、ずっと子どもに響きます。
「よくできたね」しか浮かばない…褒め言葉が出てこないあなたへ
「よし、今日こそ子どもをしっかり褒めよう!」と朝から意気込んでも、いざ教室に立つと、気づけばまた「よくできたね」しか言えていない……そんな自分にがっかりしたこと、ありませんか?
そして、そんな日々が続くと、だんだんと「自分って教師に向いてないんじゃないか」と感じ始めてしまう。周りの先生たちは、あんなに自然に声をかけているのに、自分はどうしてこんなにも言葉が出てこないんだろう……。
この悩みの根っこには、「ちゃんと褒められない自分はダメなんじゃないか」という、深い自己否定が潜んでいます。でも、忘れないでください。あなたが「褒めたいのに言葉が出てこない」と悩んでいるという事実こそ、すでに“見ようとしている証”なんです。
語彙が出てこないだけで、なぜこんなに自己否定してしまうのか
いくら「自分は頑張っている」と思っていても、「褒める」という、一見するとシンプルで“教師としては当たり前”とされることがうまくできないと感じた瞬間、心の奥で「自分には教師の資質がないのかもしれない」と不安が押し寄せてくることがあります。
本当はそんなこと、まったくないのに。
言葉に詰まってしまうのは、それだけ子どものことを真剣に見つめているからです。語彙の問題ではなく、「どう伝えたらこの子に響くのか?」と、ひたむきに考えている証拠。そうやって迷えるあなたこそ、すでに立派な“育てる教師”なんです。
言葉が出ない本当の理由は、“見方”が曖昧だから
語彙の問題ではなく、“観察と解釈”の問題
「褒めたいのに、どんな言葉がいいかわからない」——この悩みを持てている時点で、あなたはすでに素晴らしい先生です。なぜなら、「子どもをよく見ようとしている」から。その姿勢があるからこそ、悩むんです。
そして実は、「言葉が出てこない」というのは、教師としての“高度な悩み”でもあります。なぜなら、それは「行動の意味をきちんと捉えたい」というプロ意識の表れでもあるからです。
では、どうすれば“言葉”は自然と出てくるようになるんでしょうか?
「どこを育てたいか?」が明確になっていないと、言葉は出ない
それは、「どこを育てたいか?」という視点を自分の中に持っておくことです。これがあると、行動の意味づけができ、そこに価値を感じた瞬間、自然と言葉が出てきます。
理想は、クラス目標や学年の方針に基づいた視点です。でも、「クラス目標が形骸化してしまっている」「忙しくてサッと決めてしまった」という場合もあるでしょう。それなら無理に再設定しなくて大丈夫。
おすすめは、「子どものポジティブな変化」に目を向けること。そして、それに担任自身の“主観”で意味づけをしてあげることです。
・昨日より話を聞く姿勢が良くなった
・声の大きさが変わってきた
・ちょっとだけ自主的に取り組めた
など。
そういった小さな変化をキャッチして、「それ、すごく価値があるよ」と届けてあげる。それだけで、褒め言葉はどんどん自然に出てくるようになります。
「子どもの良さが見えるようになるトレーニング」3ステップ
※ポイントで解説します
STEP1:行動の背景にある“意図”に気づく視点をもつ
・「やろうとした」だけでも、立派な行動
・子どもはすぐに変化しない。なので初期はむしろ、この「やろうとした」ことに注目することが多い
STEP2:実況中継のように「行動を言語化」してみる
・ 「〜 してるね」「おお、今は 〜 中なんだね」でも十分
・先にも出てきたように、子どもは「自分のとった行動に価値を感じたとき」にめちゃくちゃいい表情をします
STEP3:授業の中で1つ“具体的な褒めポイント”をもって机間指導する習慣をつくる
※以下は少し詳しく解説しますね。
・たとえば、知識・技能の習得を目指す回ありますよね。例えば指導書に「かけ算の筆算の仕方を身につける」みたいに書かれてる回。
・イメージしやすいのは「練習問題終わった人手を挙げて」などと言って担任が丸付けに回るときとか。そういう時は「良く出来てるね」「正解!」とか言って採点すると思います。あのイメージ。
・それを机間巡視に置き換えます。問題を出して、児童から挙手があってから回るんじゃなくて、問題を出してすぐに巡回を始める。このときに「問題に取り組んでる子を褒めよう」と、自分で「褒めポイント」を設定するわけです。
・で、基本はそれ以外見ない。普通に歩く速さで一人ひとりの児童を見ていく。褒める言葉も短く端的でいいです。名前も言わなくて良い。そして、設定した褒めポイント「問題に取り組んでる子」を見つけたときには、例えば以下のような褒め言葉を次々と言っていきます。
【例】
・いいね!
・いいね〜…
・がんばってるね
・素晴らしいね〜
・一生懸命取り組めてるよ
・諦めずに考えてるな?
・
・
など。
ちょっと伝わりにくいかもしれませんが、例えば児童ABCDが
A:顔をノートに近づけてまで取り組んでる
B:ぼーっとしてベランダを眺めてる
C:普通に取り組んでいる
D:肘を付きながらも取り組んでいる
としましょう。
教師は、前からABCD…という順番で歩き回りますよね。そのとき、各自動の横を通り過ぎる時に
Aに:いいね!
Bに:(特に何も言わない。スルー)
Cに:いいね 〜
Dに:諦めずに考えてるな?
みたいに伝えていく感じです。
注目ポイントは2つ。
①「いいね!」と「いいね〜」は言葉は同じだが、トーンによって全く伝わり方が違う = 一つの言葉を何回も使い回せる
②Dが「仕方なくやってる感」を出していても「諦めずに取り組んでいるその姿勢が素敵だね」という無言メッセージを伝えてる
ことです。
あと一つ、大事なポイントとしては「Bへの対応」でしょう。
ここでは「コンコン」と机を軽く叩いて促したり、Bの前で立ち止まったりして、無言で「問題に取り組む行動」を促すのがオススメ。
意図は「Bのプライドへの配慮」と「周りの子にネガティブな空気感を広げないため」です。
※これは重要なことですが、長くなってしまうためここでは割愛します。また別記事で詳しく書く予定です。
いずれにしろ、これは「具体的な褒め言葉をサッと言えるようになるためのトレーニング」です。これを徹底して繰り返すだけで、授業そのものが落ち着いていく効果も期待できるくらい効果的な対応です。
でも、「これはトレーニングだから」と自分なりに割り切って続けてみることで、自分へのプレッシャーを減らすことができます。
「褒め言葉」が自然に出てくるようになると、何が変わるのか?
子どもが“見られている”と実感し始める
子どもは、大人が「見てくれている」と感じた瞬間に、目の輝きが変わります。
特別な言葉がけじゃなくていい。授業中のちょっとした一言、頷き、アイコンタクト。
それだけで、子どもは「今、自分が見守られている」と感じます。その安心感が、次の行動への前向きさにつながるんですよね。
「何もしてない子」にも声をかけられるようになる
「頑張ってる子」ばかりを褒めてしまうと、どうしても取りこぼしが出てしまいます。
でも、「見る視点」が育つと、「まだ頑張れない子」の“可能性の芽”にも自然と目がいくようになります。
「今日はノートを開けたね」「机に向かえてるね」
そんな些細な声かけが、子どもにとってはものすごく大きなエールになりますよ。
先生自身が「ちゃんと見てる」という確信を持てるように
「褒められない」「言葉が出てこない」という悩みの裏には、「ちゃんと子どもを見てる自信が持てない」という葛藤があります。
でも、視点の持ち方が変わると、自然と「今、自分はこの子の“育ち”に関われてる」という手応えを感じられるようになる。
それは、教師としての自信に直結します(まさに私がそうでした)。
言葉のバリエーションを増やすための“実践テクニック”
「すごいね」「えらいね」から脱却する具体例集
褒め言葉って、つい「すごいね」「えらいね」に頼りがちですよね。でも、それだけだと“評価っぽさ”が強くなりすぎてしまう。だからこそ、ちょっとした言い換えが効いてきます。
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「一生懸命だったね」
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「前よりも静かにできてたよ」
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「いい工夫してたね」
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「自分から動けたね」
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「◯◯に気づけたの、すごいよ」
こういう具体的な言葉は、「見てくれてたんだ」という感覚を子どもに与えるので、自己肯定感にもつながっていきますよ。
プロセス褒めと感情褒めを使い分ける
「結果を褒める」だけではなく、「努力の過程を褒める」「先生自身の感情を添える」ことで、言葉の厚みが増します。
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プロセス褒め:「あきらめずに最後までやってたね」
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感情褒め:「先生、あなたのあの姿に感動したよ」
この2つを使い分けることで、同じ行動でも褒め方のバリエーションが増えていくのでオススメですよ!
日々出会う“言葉のヒント”をストックする
良い褒め言葉って、ふとした瞬間に他の先生の声かけや、子どもの反応から学べたりします。
そうした「お、今のいいな」と思った言葉を、スマホのメモ帳やノート、週案等にに即ストックしておくと、それだけで「自分だけの褒め言葉辞典」ができます。
意識して言葉を収集していくだけで、確実に“出てくる言葉”が増えていきます。
ぶっちゃけ、一人ひとりの良さとか頑張ってることとか。そのあたりのことは今回のトレーニングを続けて「育てる視点」が強化されていくと自然に見つけられるようになるのでご安心を。
※私はめちゃくちゃ記憶力悪いです。職員室にボールペン取りに行ったのに、事務員さんに話しかけられて、未提出だった書類に押印したら、もうそのままスッキリして教室へ戻ってしまう始末。
でも、「育てる視点」で常に児童をみてるので、「この子は前回こうだったのに、今回はこんな風にポジティブに変わったな」という風に気づけます。
あなたの言葉は、子どもの未来に届いている
うまく言えない日があっても、それは「育てよう」としている証拠
どんなに経験を積んでも、毎日完璧に褒められるわけじゃありません。
忙しい日、余裕のない日、言葉が出てこない日だってある。
だけど、「言葉に詰まるほど、あなたはその子を見ようとしている」。
その事実こそ、あなたが“熱心にその子の成長と向き合ってる証拠”なんです。
「言葉が出ない自分」にも優しくなれる日が来る
褒めようとして、でもうまく言えなくて、自信をなくしてしまう。。。
そんな経験を積み重ねることで、先生自身の“見方”も育っていきます。気づけばあなたは、誰よりも子どもの育ちを信じ、寄り添える教師になっている。
大丈夫。今日から始めれば、必ず変われますよ^^
「言葉に詰まるのは、見ようとしている証」
今日ぜひ、覚えて帰って下さい!^^
PS:
「子どもの褒め言葉で悩む…」って、子どもに真剣に関わってる証拠なので、それだけでかなり高次元な悩みだと思ってます。
そんなあなたには、「褒める」にとどまらない「人間心理の本質」が学べるこの記事(書籍の紹介)もオススメですよ。
仕事上だけでなく、人と関わる全ての人が読んでほしい…と割と本気で思えた書籍です。
本質的すぎて内容はぶ厚めなので読むのにある程度の時間は必要ですが、費やした時間以上の価値を得られます。
というか、「目次だけ見てみる
か…
」ぐらいでも全然OKです!